2025年02月24日

2月24日の記事

塔2023年一月号

テキストに線引きたふす悪癖を学期始めの吾は哀しむ

朝昼もタンパク質を摂るべしと教授は言ひて授業を終へぬ

中国語「走吧」はレッツゴー行きませうパンダのマーク貼りて覚ゆる

資治通鑑(つがん)読む董卓袁紹出で来れば「待つてました!」と声無き声を

「漢字海」重しの如く載せ置きて夕食準備に机離るる

蚊一匹障子の際に死にてありもいちど外へ飛ばむとせしか


  


Posted by ラヴェンダの風 at 14:14Comments(0)

2023年12月29日

塔 2022年12月号

吾の血を三日吸ひたる蚊を叩く吾が掌に血は戻りきて

まだ知らぬ周五郎の女ゐて夏の休日ともに過ごしぬ

胡瓜ハム玉子を入れて蕎麦を食む夫の味覚を吾は怪しむ

足元にこつんこつんと音のして青き団栗秋を弾みぬ

百円の新色毛糸もとめけりあるだけ買ひて足るか足らぬか

冷房を効かせ編物始めけり冬は突然顔出すだらう

この頃はゆつたり着たき何もかもソックスさへもゴムの緩きを
  


Posted by ラヴェンダの風 at 19:59Comments(0)塔 短歌

2023年12月29日

塔 2022年11月号

ミャンマーへ行く子止めたし一生の仕事ならばと言葉飲み込む

戻り行く子見送れば居間広くエアコンの音耳に際立つ

嵩高きビデオテープを捨てむとす時がゴミへと変へてしまひぬ

懐かしみこれ見る時はあるのかとアルバム前に暫し考ふ

誰か言ふ〝カリンバ沼〟にはまり込みカリンバ九台積み上げてゐる
  


Posted by ラヴェンダの風 at 19:49Comments(0)塔 短歌

2023年12月29日

塔 2022年10月号

耐へかねて脳が悲鳴をあげてより受験は明日と心に期しぬ

あやしきはフラグを立てて次に行く黒色珈琲ぬるさを増して

終はつたぞ!声は出さずに叫びけり雁字搦めの縄が解けゆく

お疲れの脳に糖分送らむと水やうかんを褒美に食す

試験なき日常戻り首輪無き犬の気持ちをはつかに知りぬ

日本のソウルフードと言ひ切られラーメン食せぬ吾を哀しむ

水晶の微かな重み首にあり三年ぶりの昼食会に
  


Posted by ラヴェンダの風 at 19:42Comments(0)塔 短歌

2023年12月29日

塔 2022年9月号

拒めずにいつかは吾も消ゆるだらうこの世の何かを僅かに学びて

ウイグルの女性は言ひぬむざむざと制圧されしゆゑの今日

紫の万年筆を購ひぬ哀しきひとにまつはる色の

毎日を単位試験に追はれゐる余裕のなさをひとには言はず

好物のアイス最中を齧る時美空ひばりを決まつて思ふ
  


Posted by ラヴェンダの風 at 19:33Comments(0)塔 短歌

2023年12月29日

塔 2022年8月号

ゴリゴリと回して削るHB探求心を尖らすために

口中の飴の溶けゆく速さにて唾液の量を吾は知るなり

これはもう眠るしかない眠たさよ午前十時の椅子に座りて

血の気なき恐怖の顔の人々が眼裏に見ゆ寝むとせし時

就活とさびしき言葉聞こゆれど畳む気はなしここは吾が家

翌日の消印押さるる封筒はきつと不満を内蔵するらむ
  


Posted by ラヴェンダの風 at 19:26Comments(0)塔 短歌

2023年12月29日

塔 2022年7月号

里山に桜蕾みて老若の三十三名今卒業す

コロナ禍に二年を過ごし卒業す前代未聞の在宅試験

眼鏡無く少し離して謝辞を読む吾は婆さん、婆さん学生

礼服に真面目顔なる所長より腕にずしりと学士記賜ふ

二枚目と言へど学士記軽からず吾の二年の証となりぬ

吾が内に絡まりたるがほどけゆくその一瞬が学ぶ楽しさ
  


Posted by ラヴェンダの風 at 19:18Comments(0)塔 短歌

2023年12月29日

塔 2022年6月号

忙しき時は一度に来たるもの歌を詠みつつ謝辞書きをりぬ

学校に通ふ機会を奪われしパンデミックの申し子吾等

答案のマークシートを郵送し追跡したき時もありしを

揺れてゐるカーテン越しに日を浴びぬ戦火の街は心に重く

おそらくは何の役にも立たぬだろそれでも学ぶウクライナ語ゆゑ

鶯がよろぼふやうに鳴きにけりキエフにロシア迫りゐる日に
  


Posted by ラヴェンダの風 at 19:11Comments(0)塔 短歌

2023年12月29日

塔 2022年5月号

一瞬とはいへ巻き戻す術なくて右手吊りゐる錘のごとく

左手のダブルクリック無視されて三角巾より右手を出しぬ

そろそろと怪我人らしき動きには二日で飽きて胡瓜刻みぬ

二年分歳を取りたる写真添へ再入学の手続き終へぬ

この度は生物学を学ばむと科目選択作戦を練る
  


Posted by ラヴェンダの風 at 18:01Comments(0)塔 短歌

2023年12月29日

塔 2022年4月号

掌に載るカリンバを購ひぬ忙しすぎるサンタに代はりサンタクロース

シクラメンに獅子舞の獅子挿し置きて正月迎へやうやく整ふ

十問を十分で解き試験終ふ本に数多の線残るのみ

認知症・糖尿病に心疾患学び寿命は延びるかしらむ

九台目のカリンバ購入迷ひをりどの子もみんな良き子なれども

卒業を待つ身となりて様々に思ひ描きぬガウンや袴

  


Posted by ラヴェンダの風 at 17:53Comments(0)